第37話

自然豊かな景色が広がる国・サフィロス王国。この王国の城へミカエルは1人向かっていた。「相変わらず気持ち良い所だ。」数ヶ月振りに心地よい空気を感じながら、ミカエルは足早に城に向かう。

城に到着すると、いつものようにデヴィットが迎えてくれた。だが少しだけ困った表情をしている。「何かあったのか?」ミカエルが尋ねると、レイラが朝から森に行ったきり帰って来ないそうだ。「今から探しに行こうと思うのですが…。」「良いよ。俺が行くから。多分、いつもの場所だと思うし。」ミカエルはタメ息をつくと森の方へと向かって行った。

草木を掻き分けながらミカエルは森の中を進む。目指すのはあの場所だ。しばらく森の中を歩いていると例の切り株の所へ出た。その切り株の上には1人の女性が横たわっている。

ミカエルは切り株に近付くと、女性の白い肌に優しく触れた。すると触れられた事を感じた女性は目を覚ました。「お帰りなさい。ミカエル。」「ただいま、レイラ。…数ヶ月振りだね。」ミカエルは微笑みながらレイラの隣に腰かけた。

「デヴィットが心配していたよ。君が帰って来ないって。」「ゴメンなさい。天気が良いから貴方が帰って来るまで森の中を散歩してたの。でも途中で眠くなっちゃって…。」謝るレイラをミカエルは見つめながら、彼女のお腹を優しく撫でる。「仕方ないさ。今はそういう時期だってお医者さんが言ってたからね。…でも、これからは気を付けないとね。」ミカエルの言葉にレイラは微笑みながら頷いた。そしてミカエルはレイラを抱き上げると「では、お城へと帰りましょうか?森のお姫様。」と優しく言う。レイラはミカエルの言葉に笑みを浮かべると、抱きかかえられたまま城へと戻って行った。

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森の姫君 @satikuranaka

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