(第13話)

第36話

「…ありがとう。ミカエル。貴方のお蔭で城に戻って来る事が出来たわ。」「俺は愛しい君を守ろうとしただけだよ。」式の後、ミカエルとレイラは、ミカエルが使う部屋で穏やかな時を過ごしていた。昼間とは違いとても静かな時間だった。

と、その時。扉を叩く音の後に誰かが部屋に入って来た。「ゴメンなさい。デヴィットから聞いたらここだと言われたから。…お邪魔だったかしら?」そう言って入って来たのはドリスだった。「いや、大丈夫だよ。何かあったのか?」ミカエルが尋ねると、ドリスは2人が座るソファーに近付いた。そして「改めてお礼を言いに来たの。母を止めてくれてありがとう。」と言った。

ドリスの母・ジュビアは計画が崩された後、特別に手配しておいた隣国の警察に連れてかれた。実行犯でもある娘のメリッサもだ。2人は国外追放された為、もうサフィロス王国に近付く事は出来なくなった。

「君はどうするんだい?ドリス。」一方、今回の計画に加担しなかったドリスは追放されなかった為、サフィロス王国に居ようと思えば居る事が出来る。彼女が望めばの話だが…。「仲の良い夫婦の邪魔をする訳にはいかないでしょう?私もここから出て行くわ。」少し冷たい口調のドリスに、ミカエルとレイラは不安そうな顔をする。そんな2人の顔を見てドリスは笑顔になる。「そんな顔しないで。私は本当に感謝してるのよ。だって夢を叶えるチャンスが来たのだから。本当にありがとう。」ドリスは改めてミカエルにお礼を言う。そしてレイラに「今までゴメンね、レイラ様。これからはミカエル様と仲良く王国を築けるように願ってます。」と微笑みながら言った。ドリスの温かい言葉にレイラは思わず涙を流す。綺麗な涙を見たドリスはレイラを優しく抱きしめる。そして笑顔のまま立ち上がると部屋を出て城の外へ向かう。その姿をミカエルとレイラは、ドリスの新たな旅立ちの成功を願いながらいつまでも見送るのだった。

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