第32話

ミカエルが城に戻って来たのは昼近くだった。ミカエルは自室に居たドリスに声をかけると外へ連れ出した。外へ出るとミカエルはすぐに昨日の態度について頭を下げ謝る。更に今までの経緯と結婚式当日の作戦を話した。

「…そのような事があったのですね。」話を聞いたドリスは、今までのミカエルの態度を理解したようだ。「それで…、君に協力してほしいんだ。」ミカエルが言うとドリスはしばらく考えていた。ミカエルの作戦は母親をおとしめる作戦だったからだ。…それでもこの作戦に乗らないと運命は変われない気がした。ドリスはタメ息をつくと「…分かりました。その作戦に協力します。」と自分の想いを込めながら伝える。ドリスの言葉に安心したミカエルは、ドリスの手を握り「ありがとう。ドリス。」とお礼を言った。

ミカエル達は城に戻ると、ジュビアに結婚の報告をする。ジュビアは予想通りとても喜び式を1週間後と決めてしまう。期間の短さに戸惑うミカエルだったが、作戦の為にはジュビアの言う事を聞いて不審がられないようにしなければならない。仕方なくミカエルはその1週間の間に結婚式をしながらもう一つの作戦の準備を進める事にした。更にマイクとウィリアムの他に人を呼び、メリッサの正体を探った。そして、何とか式の前日には全ての準備とメリッサの正体を突き止める事が出来た。

その日の夜。城から出たミカエルはレイラの居る森へと向かった。暗くなった森を進むと切り株の上で横たわっているレイラを発見する。デヴィット達の話によると、あの日以来、毎日父親のお見舞いに行っているそうだ。疲れて眠るレイラの髪をミカエルは優しく撫でる。するとレイラは目を覚まし「ゴメンなさい…。貴方を待っている間に寝てしまって…。」と言う。そんなレイラをミカエルは抱きしめると「…これからは俺が守るから。」と耳元で囁く。レイラは頷くとミカエルに抱きつき2人だけの夜を過ごした―。

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