第31話

明け方。デヴィットから話を聞いたマイクが駆けつける。「ご無事ですか!?」「あぁ。何とかな。」心配そうに尋ねるマイクにミカエルは答える。その様子に安心したマイクはメリッサを見つめる。「彼女が実行犯ですか?」「あぁ…。だが指示した者が別に居るんだ。…大体の見当はつくけどな。」レイラが死んで一番得をする者はあの人しかいなかった。だが、メリッサがこんな事をしてまで仕えてる理由が知りたかった。「…一応、彼女の素性を調べてくれないか?」「分かりました。」マイクはメリッサに軽く手当をすると病院に連れて行く為に抱きかかえる。そしてミカエルもレイラの腕を掴み背負うと一緒に病院に向かって行った。

隣国の病院に着いたのはすっかり明るくなってからだった。既に意識を取り戻していたメリッサは治療後、監視と聴取も兼ねて特別室に入れられた。一方、目立った外傷がなかったレイラは、検査を済ませ国王であり実の父親でもあるフレディの元へ向かった。

覚悟して病室に入るレイラ。ベッドの上には約20年振りに再会したフレディが横たわっていた。すっかり老けてしまった顔を覗きながら、レイラはフレディの手を握る。だが、いくらレイラが手を握ってもフレディは意識を取り戻さなかった。

「レイラ?入るよ。」ミカエルは扉を叩いた後、フレディの病室に入った。フレディを見つめながら手を握り続けるレイラの肩に優しく手を置く。「ゴメン。すぐに助け出せなくて…。」「ミカエルのせいじゃないよ。こんな事を招いたのは父にも原因があるんだし…。」謝るミカエルに対しレイラは沈んだ表情で言う。その後2人は終始無言でフレディを見つめていた。

しばらくの間無言でフレディを見つめていた2人。するとミカエルは暗い空気を変えるかのように「レイラ…。こんな時に言うのもなんだけど…、結婚式の話をしたい。…良いか?」と切り出した。そしてレイラが頷くと、結婚式当日の流れを話すのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る