第27話

城から出たミカエルは森の中に入った。草木をかき分けると、いつもの切り株の所に出る。そして切り株にはレイラが座っていた。「ミカエル!…どうかしたの?」息を切らすミカエルにレイラは尋ねる。そんなレイラをミカエルは抱きしめ「…しばらく、このままでいさせて…。」と耳元で囁く。ミカエルの言葉を聞いたレイラは何も言わず腕を回してしばらく抱きついていた。

ようやく落ち着いたミカエルはレイラの隣に腰かける。「…もう大丈夫?」心配そうに尋ねるレイラ。そんなレイラの頭にミカエルは手を置き「君のおかげで落ち着いたよ。」と言いしばらく撫でていた。「ところで…、何かあったの?すごく慌てた様子に見えたんだけど。」ミカエルを見つめ尋ねるレイラに、ミカエルは口を開いた。『国王が…、君の父親が見つかった。一応、生きている。』と。

レイラは俯き「そっか…。」と呟くと沈黙する。その様子をミカエルはただ見つめていた。レイラはタメ息をつき「見つかって嬉しいはずなのに何か複雑な気分。」と漏らす。確かにレイラが森に住む原因を作った1人なのだから複雑な気持ちになるだろう。それでもミカエルは「…どうする?隣国の病院に居るから会おうと思えば会えるよ。」と言った。どんな形であれ親子の再会は果たすべきだと思ったからだ。レイラはしばらく考え込むと「…明日、会いに行くわ。」とミカエルを見つめ言う。ミカエルは頷き「じゃあ、明日迎えに来るから。」と言いレイラの額に口付けをする。そして立ち上がると手を振り城へと戻って行った。

ミカエルと別れた後もレイラは切り株の上に座り、見つかった父の事を考えていた。「あの人に会うなんて20年振りだわ…。」呟いていると草むらの方から音が聞こえた。「…ミカエル?それともデヴィット?」だが誰も出てこない。音のする方へ近付き覗きこむレイラ。すると草むらから突然布を持った腕が出てレイラの口を塞ぐ。布には薬がしみ込んでいたのかレイラはそのまま意識を失ってしまった―。

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