第25話

ウィリアムからの話を聞いたミカエルはウィリアムに尋ねる。「ドリスを見張っていたんだよな?不審な様子は無かったのか?」ミカエルの言葉にウィリアムは頷く。「依頼のあったドリスもジュビアも見張ってましたが特に変わった様子はありませんでした。」「…とすると第3者が火を放った事になるのか…。」

ミカエルが考え込んでいると背後から誰かが近付いて来る。「何かあったのですか?」見るとドリスとジュビア、そしてデヴィットと以前紅茶を淹れてくれたメイドが居た。「何か騒がしい気がしたので城から出て来たのですけど…。」そう言うとドリスは覗き込もうとする。(このままでは国王の事が気付かれてしまう…。)とっさに思ったミカエルはドリス達の前に立ち塞がり自らの背に隠した。そして「いや…。ただ空き家が燃えただけだよ。」と言って誤魔化してみせる。もし今、火事で殺した筈の国王が無事だと判明すれば、止めを刺されてしまうかも知れない。それにドリスやジュビアが直接的な犯人でなくても、誰かに依頼して国王を監禁し火を放った可能性も否定出来ない。その証拠が見つかるまでは国王の安全は守らねばならない。

ミカエルの必死の姿にデヴィットは何かを察したのか「…そうでございますか。では私達も城に戻りましょう。夜も遅いですし。」と言ってドリス達を連れて城へ戻ってくれた。そんなデヴィットの行動にミカエルは一先ず安心する。程なくしてマイクが呼んだ医者達がやって来た。軽く治療した後、予め手配しておいた隣国の病院に搬送される。「誰かが付いた方が良い。」という話だったのでそのままマイクに付いて行って貰う。ミカエルは運ばれる国王とマイクの様子を見送り城へ戻った。いつの間にか東の空が明るくなろうとしている。ミカエルは部屋に戻り様々な出来事で高ぶる精神を休める為に仮眠をとるのだった。

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