(第9話)

第24話

「…僕もそろそろ帰らないと。」ミカエルの言葉にレイラは頷く。そして森の出口まで付いて行くと「じゃあ、気を付けてね。」と微笑みながら言う。レイラの笑顔にミカエルも微笑む。そしてミカエルはレイラの髪に手を触れると優しく撫でた。光輝くクリーム色の髪はとても柔らかく撫でる方にも優しさが伝わってくる。一方のレイラも目を閉じて髪を撫でるミカエルを受け入れ続けた。その後、ミカエルは城の方に向かって歩き始める。レイラはその後ろ姿を見送り続けた。

 城に戻ると既にドリス達が目を覚ましていた。ミカエルはいつものように接していたが雰囲気で分かるのか「何か良い事があったのですか?」とドリスに尋ねられてしまう。「…まぁ少しだけな。」そう言っただけでミカエルは詳細を言わなかった。その様子にドリスは気になったみたいだが、あえて何も聞こうとせず「良かったですわね。」とだけ答えた。そしてこの日も3人で買い物に出掛けて行った。

 その日の深夜。ミカエルが眠りに落ちていると部屋の扉を叩く音が聞こえた。ミカエルは目を擦りながら扉を開けると、ウィリアムが切羽詰まった表情で立っていた。「どうしたんだ?こんな夜遅くに…。」「それが…、城の近くの空き家が燃えて!」ウィリアムの言葉に事の重大さに気付くミカエル。すぐに上着を羽織ると城を飛び出して行った。

 外に出ると確かに空き家のある方の空が異様に明るくなっていた。走って近付いて行くと複数ある空き家の1軒が煙に包まれている。そして傍には意識を失い倒れている男性と電話で医者を手配するマイクの姿があった。「一体何があったんだ?」尋ねるミカエルにウィリアムは報告する。

 ウィリアムの話によると、2人は交代で国王の捜索とドリスの見張りを繰り返していた。そして先程もマイクが捜索、ウィリアムが監視と交代したそうだ。マイクが空き家の方へ行こうとすると暗闇に怪しい人影が通り過ぎ、その人影が出て来た空き家から火が見えた。嫌な予感がしたマイクが、煙が出ている空き家の中に入ると男性が倒れていた。まだ息があった為、慌てて連れ出し写真で確認すると、サフィロス王国の国王フレディだった。一先ずマイクはフレディの為に医者の手配をして、マイクから話を聞いたウィリアムがミカエルに報告に来たのだそうだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る