第21話

ダンスパーティーが終わった頃には、辺りはすっかり薄暗くなっていた。招待客を送り出したミカエルは部屋に戻ると上着を脱いでソファーに腰かける。すると部屋の扉を叩く音が聞こえマイクとウィリアムが入って来た。「ありがとう。早速、良いか?」ミカエルが言うと2人は頷く。そして2人でミカエルに近付いていった。

「…つまり空き家の何処かに国王が居るという事ですね。」ウィリアムの問いかけにミカエルが頷く。その言葉をウィリアムの隣で聞いていたマイクは手帳にメモをする。「君達の方は何か分かった事はないか?」「いいえ…。一応、今朝もサフィロス王国の事を調べたんですが『現在の王妃はジュビアで次期女王はドリス』というのと、『国王が行方不明』というのしか情報が無いんですよ。」ミカエルの問いにウィリアムは苦しそうに答える。更に2人の話を聞いていたマイクが「国外追放された者達もあちらこちらの国に散ってまして探すのは難しそうです。今日招待された客達もサフィロス王国の関係者は居なかったみたいですし。」と付け加えた。「そうか…。」2人の話を聞いたミカエルは呟く。3人の間に沈黙とした空気が流れる。そんな3人の様子を誰かが廊下から盗み聞きしていたようだが、考え込んでいる3人には気付く事が出来なかった。そして盗み聞きしていた者は気配を消したまま城の奥へと消えて行った。

「とにかく悩んでいても仕方ないか。」ミカエルはタメ息をつく。そして改めてウィリアムとマイクに交代しながらドリスの見張りと、空き家地帯の国王の捜索を命じた。ミカエルの指示を聞いた2人は、頭を下げると静かに部屋を出て行く。

再び1人になったミカエルは、ベッドの上に横たわり天井を見つめる。(レイラはどうしているだろう…?)ミカエルはレイラの事がふと気になった。そして明日、再び会いに行く事を決意すると静かに目を閉じた―。

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