(第7話)
第19話
翌日。まだジュビア達が起きる前にデヴィットは森へと向かって行った。ミカエルはその後ろ姿を城の入り口から見送る。まだ霧が出ている景色の中をデヴィットは静かに消えていく。デヴィットを見送った後、ミカエルは部屋に戻り服を着替えた。
着替え終わりしばらく部屋のソファーでくつろいでいると扉をノックする音が聞こえる。ミカエルが返事をするとドリスが部屋の中に入って来た。「今日はダンスパーティーですね。よろしくお願いします。」軽く挨拶をするドリスにミカエルは「少し話があるんだが良いかい?」と声をかける。そしてドリスと共に城の外へ出た。
「外へ私を連れ出して何か用があるのですか?」不思議そうな表情をするドリスにミカエルは前日の昼間に話した『ある場所に国王を監禁した』の真意を問いた。「君は国王の居場所を知っているのか。」と。「…もしかしてデヴィットと国王を救出する作戦を立ててるのですか?」ミカエルの問いにドリスは聞き返す。思わず戸惑って答えを濁らすミカエルにドリスはクスリと笑う。そして「残念ですが私には場所まで分かりません。この城の周辺だとは思いますけど。」と答えた。ドリスの答えにミカエルは少し残念そうな表情をする。そんなミカエルに「分かったらすぐに教えますわ。」とドリスは明るい表情で言った。
「協力してくれるのかい?どうして?」城に戻ろうとするドリスの背後でミカエルは尋ねる。ドリスは歩くのを止めた。「…昨日も言いましたが、私は女王になりたいとは思ってはいません。正式な女王が居るのなら尚更。…それに私にはモデルになるという夢があるので自由になりたいのです。」そしてミカエルの方に振り返り「有名モデルになるように応援して下さいね!」と笑顔で言った。「あぁ。勿論だよ。」自分達の作戦にドリスを利用する事に少しの警戒心と心苦しさを感じていたミカエル。だが夢を語ってくれた事で何だか心が晴れる。と同時に、ドリスの夢が叶ってほしいと思うのだった。
部屋に戻ったミカエルは電話を手に取り、自分の会社を通じて馴染みの探偵事務所に連絡を取る。国王の居場所が分からなかったとはいえ、一応、人手が居ると思ったからだ。幸いにも手が空いてる者が2人居た。ミカエルはすぐに来るように伝えると電話を置く。そして頭の中で作戦を再確認しながら少し体と心を落ち着かせていた。
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