第17話
「弟…。って事はレイラの叔父さんなのかい?」ミカエルは驚きながら問うと、デヴィットは話を続ける。「弟と言っても血の繋がりはありません。私は孤児院で生まれ育ったのを、ネネ様の…前王妃の両親に引き取られたのですよ。以来、ネネ様とは姉弟のように育ちました。両親が亡くなった後も、ネネ様がサフィロス王国に行き王妃になった後もずっと変わらず交流していました。」
懐かしそうに話すデヴィットだったが、やがてその表情が暗くなる。「生前ネネ様と約束をしました。『もしもの時は、頼りない夫の代わりにレイラの手助けをしてほしい』と。最初はどういう意味か分かりませんでした。ですが、やがてネネ様が死に王・フレディがすぐに新たな王妃を迎えた時に思ったのです。もしかしたらレイラ様が追い出されてしまうかもと。すると、やはりジュビア様がレイラ様を追い払おうと計画していました。」デヴィットは窓の外を見つめる。「私は己の正体を隠し執事としてこの城に入りました。そしてジュビア様の計画に加担すると見せかけてレイラ様を城外に連れ出すと森にかくまったのです。…これしか方法が思い付かなかったとはいえ、レイラ様には辛い思いをさせてしまってます。」デヴィットの言葉には懺悔の気持ちが込められていた。ミカエルはその気持ちを感じ取るように話を聞き続ける。
「もう時間がありません。森を潰す事になってしまえばレイラ様の存在がバレて更に酷い目に遭うかもしれません。ミカエル様!協力して貰えませんか?」デヴィットの強い問いかけにミカエルは思わず黙り込んでしまう。だが、既に自分の心の中はレイラの事で一杯になっているのに気付いていた。ミカエルは一呼吸するとデヴィットを見つめる。そして「分かりました。僕にできる事があれば協力します。」と強く答えるのだった。
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