第11話

レイラの無邪気な表情を見たミカエルは「今度は君に聞きたい事があるんだが…。」と話す。「なに?」不思議そうな顔をするレイラ。レイラの問いかけにミカエルは質問を続けた。「君はどうして森に居るんだい?君の両親は何処に居るんだい?」真っ直ぐにレイラを見つめながらミカエルは尋ねた。

ミカエルの問いかけにレイラは一瞬戸惑いの表情を見せる。だが一息つくと「じゃあ、ミカエルに1つ物語を聞かせてあげるね。」と言い、ミカエルを見つめながら語り始めた。

「昔々、ある所に1つの国がありました。ですが頼りない王様のせいで国民や従者が度々反乱を起こし、国は見る見るうちに小さくなってしまいました。そんなある時のこと。小さくなる国を救う為の打開策として1人の女性を迎えました。その女性は違う国から来たのですが自然を愛する心を持ち、その自然を利用した観光事業を思いつきました。そして1人で自然を増やしていき立派な森を作りました。女性の頑張りに国民は心を動かされ、やがて国にも活気が戻ってきます。また王様も頑張る女性に惚れこみ女性を王妃として迎えました。愛し合う2人の間にはやがて娘も生まれ国民は更に喜んだのでした。」レイラの話に耳を傾けるミカエル。だが笑顔で話すレイラの表情は徐々に暗くなっていく。

「観光事業のおかげで国は莫大な富みを得る事が出来て、王室も国民も幸せな日々を過ごしていました。しかし幸せは長く続きません。国民の心を掴んだ王妃が突然の病で亡くなってしまったのです。王様と国民は深く悲しみました。そんな国の様子を見た1人の女性が王様に近付きます。女性は悲しむ王様に、自慢の美貌と色気を使い新たな王妃となりました。しかし新たな王妃は莫大な財産が目当てで王様を愛してはいませんでした。あっという間に頼りない王様を城から追い出すと反発する国民を次々と国外追放したのです。そればかりか自分の娘を次の女王とする為に前王妃の娘に手をかけようとしました。幸いにも1人の男性が止めたおかげで娘の命は助かりました。ですが結局、居場所を追われた娘は森の中に住む事になったのです。…以上、ある娘の不幸なお話でした。」

話しを終えたレイラはミカエルを見つめた。レイラの話にミカエルは言葉を失う。「その娘って君の事…?」ミカエルは問いかけるがレイラは何も答えず、ただミカエルを見つめるだけだった。

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