第35話

一行は門の前に立ち止まった。敷地は防風林に囲まれており、閑静な佇まい。門の近くの樹の裏から、子ども3人が一行を盗み見ている。


 気が付いたシズマが紹介した、

「いとこのチヒロちゃんとヒロミ伯母さんだ」

 クルミは困った顔をして、

「隠れてないでちゃんと挨拶をしなさい」

 3人はおずおずと出てきた。チヒロよりもやや大きい男の子とやや小さい女の子、まだ幼い男の子。年上から順に、

「ユキオです」

「ハナコです」

「ネヅオです」

 ユキオはヒロミを少し怯えた目付きで見つめている。ハナコは興味深くチヒロを見つめている。ネヅオは不安そうに父親のシズマに目配せしている。


「よし、皆中に入ろう」

 奥の母屋へ入った。

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