第31話

「初めまして。クルミです」

 駅の改札口を出た所に、シズマの妻が深々と挨拶した。ヒロミもゆっくりと頭を下げて、

「シズマの姉のヒロミです。よろしくお願いいたします」

 チヒロもつられるように、

「チヒロと申します」

 シズマはややいぶかしそうに、

「みんなはどうしたの?」

 クルミは苦笑いして、

「お義母かあさんに注意を受けているみたい。みんな、緊張していると思う」

 シズマはふうん、と、曖昧に頷いた。


 一行いっこうは村に向かう。喜原町も夢京と比べて肌寒い。今は秋の始め。けれどもチヒロ以外は平気そうである。

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