第30話

移動する汽車に乗りながら、シズマはありったけの知識を振り絞って一所懸命にチヒロにその土地その土地の文化や気候風土を教えた。学校や緑湖ではまだ聴かされていない話が多くてチヒロも聞き入っている。


 楽しそうな2人は興奮して声が大きくなる。ヒロミはそんな2人を静かにたしなめた。2人は素直に従うが、また話は盛り上がる。またたしなめられる。その繰り返し。


 夜に夢京から出発した汽車は朝に呉暮村近くの喜原きはら町に到着した。


 3人は少し仮眠をとっただけなのに退屈しなかった。むしろチヒロとシズマはすっかり打ち解けた叔父と姪だ。

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