第10話

チヒロにはその悪い事がなんなのか知らなかったし、チヒロにとってはヒロミは唯一の母親だった。


 ヒロミはチヒロを怒鳴ったりも殴ったりも蹴ったりもしなかったが、叱る時はしっかりと淡々と叱った。チヒロが風邪をひけば看病をするし、チヒロの自慢話をじっと聴く。


 それにヒロミは朝早くから自分とチヒロの為に精一杯働いている。


 チヒロがヒロミを軽蔑することなど考えられなかった。


 シズマはチヒロとヒロミを見比べて、

「姉さんもチヒロちゃんも父さん達に会いに戻ってよ」

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