第八話◇Vtuberという、お仕事。

書類審査に書いた内容は、こんな感じだ。




志望理由

初め、茉莉花さんを見てVtuberに興味を持ち、やってみたいなぁと思いました。しかし、何度送っても不合格で、諦めかけた時_____、茉莉花さんの動画を見て、元気をもらえました。

挫折していたのを、立ち上がらせてくれた。希望を届けてもらった。

だから、私も希望を届けたい、と。それに、推す番から、推される番になってみたいと思ったからです。


タレントになったら、何をしたいですか。

もしできるのなら、茉莉花さんとコラボして、たくさんお礼をしたいです。

Vtuberになれたのは、茉莉花さんのおかげだと、伝えたいです。

リアブイは、リアルと視聴者と共有できます。

他の事務所には無い技術です。

ライブをして、Vtuberからアイドルへと、さらに足を進めたいと思いました。


実績はありますか?

今のところはないですが、実績をリアブイに入ってどんどん増やしていきたいです。


短所長所はありますか

イラスト、料理が得意です。

お菓子作りなども、たいてい成功します。友達にも、美味しいとよく言ってもらえます。

たまに、お祭りなので出店をしたりしていますが、毎回完売しています。


タレントに行かせる特技はありますか

イラスト配信などをしたいです。それと、一緒に料理を作る配信など。

イラスト、料理だけは誰にも負けないという自信があります。


どう活動していきたいですか

希望を届けて、私みたいに挫折した方を助けてあげたい。いつかは、成功すると。

たくさん希望を届けて、毎日楽しく活動していきたいです。


どのくらいの頻度で活動できますか

毎日です。暇なので、長期配信なども全く大丈夫です。

たくさん希望を届けていきたいです。




「ふ〜、我ながらよくできた。」


うんうんと手を当て、頷きながら、回答したのを見返す。

頷くたびに、髪がゆらりと流れる。

もう送信済みだ。あとは____、結果を待つだけ。これで落ちたとしても、決して諦めない。何度も、この情熱をぶつけてみせる。絶対に、受かってみせる。この気持ちだけは決して消えない。雨の中、燃え続ける炎のように。


「疲れた、茉莉花の動画でもみようかしら。」


疲れた、だから推しの茉莉花を見て、元気をチャージしよう。

推しって、すごいなぁ___。

ふと、そんなことを思う。

だって____、挫折していたけれど、茉莉花のおかげで立ち直れた。推しがいるだけで、疲れてもすぐに回復できる。

そんな存在に、なれるのだろうか_____?


ああ、だめだ。暗い気持ちになる。


(決めたら、突っ走るしかないでしょう。頑張らないと。希望を届けるんだから。)


ぱちっと頬を軽く叩き、気合を入れ直す。大丈夫、私ならできるから。こんなところで挫けていたら、希望なんて届けれないわ。


あはっと元気よく笑う茉莉花。


(輝いているなぁ______。)


そんな、自ら光っているような巨星に目を奪われる。輝いている、星。それに釣られて、こっちまで笑みが溢れてくる。元気をおのずと貰っている。私が思っていたよりも、Vtuberをいう職業は_____、推しになるというおことは、思っていたよりも、深くて______、重いのかもしれない。

だけど、諦めない。元気をあげる。希望を届ける。その夢に向かって、日々歩き出すまでのみ。


「受かるといいなぁ。」


希望を届けるかどうか以前の問題である。

受かるか、落ちるか。受からなければ、全ては始まらないのだから_______。一次審査は送った。だから、あとは結果を待つのみ。


祈っても、結果は変わらない。もう、回答して送ったのだから。これで落ちたとしても、情熱は燃え尽きない。根強く燃え続ける。限界まで、足掻く。


早く結果が来てほしいけれど、落ちたときのダメージを考えると早く来て欲しくないとも思う。送ったばっかりだというのに、もう心臓がバクバクしている。不安で胸がきゅぅっと締め付けられるような感覚がする。大丈夫、きっと受かる。

情熱は、尽きないから_____。


スーハーと、息を吸ったり吐いたりして、なんとか自分を打ちつかせる。

ストンとソファーに座り、綺麗に流れている髪がはらりと揺れる。


「ふ〜ぅ、食事でも、摂ろうかしら。」


一旦気持ちをクールダウンさせて食事を摂ろう。ここの世界の食事はあっちと変わっており、結構美味しい。


メニューは______、カツ丼。

結構お気に入りのメニューである。お店で食べてみて、どハマりした。卵と、カツがマッチしていてなんとも言えない美味しさ。

ハマった。


「カツ丼〜♪カツ丼〜♪」


るんるんと効果音がつくようにスキップしてキッチンへと向かう。


髪をポニーテールに括り、体を揺らす。

一つにまとめられている髪がゆらりと重力に任せて流れる。

あー。早く食べたいなぁ。

食欲の前では、合否の不安など吹き飛んだ。

まぁ、受かるでしょ。受からなかったら、また応募すればいいだけ。

超楽観視している。

カツ丼のおかげだなぁ。ふふっと笑みをこぼして、作り始める。

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