第31話
それでも、
「あの目は、
購買で取り引きした時のことを思い出したのか、天野は美紅の机の上を見るともなく見つめたまま、ぼそりと呟いた。
「右京先輩の目って、感情が全然読み取れなくない?」
他の人に比べて、美紅は彼と過ごす時間が長いはずだが、そんな美紅ですらも、右京が何を考えているのか読めなくて困ることが多い。
あんなにも真っ直ぐに見つめられているのに、視線と視線がぶつかるその間に、見えない壁でもあるかのような不思議な感覚に陥る。
「それは先輩が基本ポーカーフェイスだからじゃない?」
天野の中では、右京は単に『何を考えているのか分からなくて当然な先輩』くらいの認識しかしていない模様。
「間宮と一緒にいる時の先輩はコロコロ表情変わるから、間宮はまだ読みやすいと思うけど」
「……」
美紅が言いたいのはそういうことではないので、不服そうな顔をしていると、
「何? やっと先輩のこと知ろうって気になったの?」
天野がニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます