第6話
「
そう言って優しく微笑む市川は、本当にいい先生だと思う。
地味だけど爽やかな好青年という印象を抱く市川は、生徒の気持ちをよく理解しようと努力してくれて、授業だってとても分かりやすい。
既婚者ではあるが、女子生徒からも密かに人気がある先生で、だからこそ、
「市川先生まで手玉にとって、マジで何なの、アイツ」
市川に好意を寄せている女子生徒からも、美紅は強い敵意を向けられてしまう。
でも、そんなのは美紅にとって、小学校の高学年くらいから経験し続けていることなので、もうすっかり慣れてしまった。
もう気にしないと決めた。
だから美紅は、他の生徒とは違って絶対に化粧はしないし、ピアスなどのアクセサリーも付けないし、スカートの丈だって校則通りの膝下丈をキープ。
地味で目立たず大人しく、を常に意識して過ごしている。
けれども、美紅の目指している所とは対象的に、周囲の男子たちはそんな彼女を見て、こう思うのだ。
――元から超絶可愛い女の子は、地味な格好をしていようとも結局は物凄く可愛いのだ、と。
だから声をかけたくてうずうずしている男子も多いのだが、美紅の性格上、それはなかなか難しく……
だからこそ、美紅はこう呼ばれてしまう。
“高嶺の花の美少女”と。
美紅はそんなこと、一ミリも望んではいないのに。
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