第4話

「あの……トモくんのお菓子、私も欲しくて……」



もじもじし出した舞の衣装は、胸元のネックラインがハート型にカットされていて――



舞が何か動きを見せる度に、そこから見える谷間が気になる。



「よくそんな露出度高いの着ようと思ったな」



一々無防備な態度を見せる舞に、友季の声が自然と低くなった。



「トモくんにしか見せるつもりなかったから、いいかなと思って」



しゅんと項垂れる舞に、友季は大きな溜息をつく。



「ちょっと待ってろ」



そう言い置くと、厨房の方へ向かう友季。



その後ろ姿を見送った舞は、



(お店の方から何かお菓子持ってきてくれるのかな?)



わくわくする気持ちを抑えて友季を待った。



が、店の方に行ったにしては随分と早く戻ってきた友季の手には、何も持たれてはおらず……



「何してたの?」



思わず訊ねると、



「ん? 裏口の鍵閉めてきた」



友季はさも当然そうに答えた。



「誰かが忘れ物でも取りに戻ってきたら大変だろ?」



「……」



ものすごーく嫌な予感がする。



舞には、友季の笑顔が悪魔のように見えた。

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