第31話
ゆづと半同棲をしながら甘い毎日を過ごしていると、時間が経つのは随分と早く感じるもので。
あっという間に帰省する日が来てしまった。
1泊2日分の着替えなどの荷物を車に積み込み、ゆづを助手席に乗せて、俺たちの生まれ故郷に向けて車を走らせる。
今日はゆづの両親へ挨拶もするので手土産のお菓子も持って、服装は勿論スーツで。
盆が過ぎたとは言ってもまだまだ残暑が厳しいから、今はワイシャツにスラックスだけという格好だけど……
「そういう格好してるナオくんも、凄くカッコイイ」
俺の隣に座るゆづは、ずっと俺の横顔を眺め続けている。
……酔ったりしないか、首が痛くならないのかが心配なんだけど。
ゆづに見つめられっ放しのまま、何とかゆづの実家に到着した。
夕方頃に着くとアポは取ってある。
ネクタイを締めてスーツのジャケットを着て、お菓子の入った紙袋とゆづの旅荷物が入った大きなボストンバッグを持って、
「ただいまー」
元気良く玄関に入るゆづの後についていく。
「結月、おかえり!」
すぐにゆづの母親が出迎えてくれて、
「結月に彼氏だなんて、一体どんな――……直人くん?」
俺の姿を認めた瞬間にハッと息を飲んで固まった。
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