第28話

誰に何を言われてもゆづのことを諦めるつもりは全くないけど、それでもやっぱり――



ゆづを生み育ててくれたご両親には、俺のことをちゃんと認めてもらいたい。



「お互い土日に仕事の休みもらって、2日間だけ帰省しよ」



夕食後のお茶をリビングのソファーでのんびりと飲みながら、壁にかけたカレンダーをちらりと見る。



「ゆづのご両親にも、ちゃんと結婚の挨拶しないと」



「えっ……」



テーブルの上にカップを戻して恥ずかしそうに俯くゆづの目線が、膝の上に置かれた左手を向く。



きっと、今もそこで輝きを放っている指輪を見つめている。



そのゆづの左手に、俺は自分の右手をそっと重ねて、きゅっと優しく握った。



「俺の家族にも、ゆづのこと改めて紹介したいし。ゆづを俺のお嫁さんにするよって」



「……うん」



恥ずかしそうに小さく、それでもしっかりと頷いてくれたゆづを、そっとお姫様だっこする。



「えっ? ナオくん!?」



慌てるゆづを寝室に運んで、ベッドの上に優しく寝かせた。



「昨日は我慢したから、今日はいい?」



昨日我慢したのはもちろん俺の意思だけど。



でも、可愛いゆづを目の前にしてずっと我慢していられる程、俺は大人じゃない。

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