第28話

誰かに腕を掴まれて、そのままぐいっと力任せに抱き起こされる。



そのまま右腕を担ぐようにして無理矢理立たされた。



「未成年に酒飲ませてんじゃねぇよ」



私の大好きなその声は、私が今までに聞いたことがない程に低くて――



――ナオくんが、とても怒っているということだけは分かった。



なんでナオくんがここに……?



なんでそんなに怒ってるの?



わけが分からないながらも、何かを言うこともすることも出来なくて、ナオくんに引きずられるようにして歩かされる。



「ゆづ、もう少しだから頑張って歩いて」



私にそう告げたナオくんの声はもう怒ってはいなくて、私はそれをぼんやりとした頭で聞きながら、



「……」



そのまま意識を手放した。

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