第27話

相馬君に連れてこられたお店は、確かにお洒落な雰囲気のお店で。



「ここのノンアルコールのドリンク、凄く美味しいんだ」



相馬君が、メニューに載っている見た目も可愛いドリンクの写真を指差した。



SNS映えのしそうなカラフルなドリンクが沢山並んでいて、どれにしようか結構な時間悩んだ。



注文するものを決めて、店員さんを呼んで……



「あれ? 相馬? 女連れなんて珍しいじゃん」



「まぁね」



店員さんと知り合いだったらしく、相馬君は笑顔で頷いた。



注文したドリンクはすぐに運ばれてきて、



「さ、森川さん。飲んでみてよ」



「うん」



相馬君に勧められるがままに、ピンクからオレンジへのグラデーションが綺麗なドリンクを飲む。



ノンアルコールとは聞いていたし、確かに甘くて美味しいけれど、何だか舌に慣れない苦味も感じる気がする。



「……?」



味わったことのない味に、何とも表現しがたくて、でも感想を言わなくてはと思い、一口、また一口と飲み進める。



そうこうしているうちに、何だか体が熱くてふわふわしてきて、



(あれ……?)



少しずつ、頭がぼんやりとし始めた。



(何か分かんないけど……眠い、かも)



きっと今目を閉じるとそのまま寝てしまう。



それはダメだと本能が警告するけれど、



(……だめ……眠、い)



テーブルに突っ伏して、腕の中に顔を埋めたその瞬間、



「ゆづ!」



聞き慣れた大好きな声がすぐ近くで聞こえた気がした。

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