第7話

「ストーカーかもしれない男がうろついてるのよ? 一人暮らしの部屋に帰らせるなんて危ないじゃない」



舞ちゃんの言葉に、



「……」



ナオくんは黙った。



「ゆづちゃんも、直人の部屋なら安心でしょ?」



そう言う舞ちゃんは、きっと私の気持ちには全く気付いていない。



幼い頃からずっと一緒に育ってきた兄妹のようなものだと思っているだろうから。



けれど、



「……うん」



この怖い状況から、ナオくんに守ってもらいたいと思っているのも私の本音で。



「……俺の部屋、結構散らかってるけど」



頭を掻きながらぼそりと呟かれた声は、それでも私にははっきりと聞こえて、



「泊めてくれるの!?」



反射的に嬉しそうな声を出してしまった。



「今日だけだからな」



渋々頷くナオくんの反応には正直傷付いたけれど、



「ありがとう!」



久しぶりにナオくんとの時間が過ごせると思うと、私はそれだけで十分過ぎるくらいに嬉しかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る