第32話

「……っ」



喘ぎ声とは程遠い、舞の苦しそうな吐息に、



「舞……」



友季は胸が締め付けられながらも、その行為を止めてあげることが出来ない自分をもどかしく感じた。



舞はこんなにも辛そうなのに、



(……どうしよう……やめたくない……!)



勝手に動く腰を、もう自分の意志では止められそうになくて。



繋いだ舞の手を、ぎゅっと強く握ると、



「……?」



舞が不思議そうに友季を見上げる。



友季と目が合った瞬間、舞が目に涙をにじませたまま、にこっと微笑んだ。



「トモくん……好き」



「……!」



その瞬間、優しい律動を繰り返していた友季の動きが、突然激しくなる。



「いっ……痛い……!」



思わず涙ぐむ舞だったが、



「舞……!」



完全に余裕をなくした友季の顔を見て、彼から目が離せなくなった。



行為は激しくなっても、繋いだ手から伝わる愛情に、乱暴に扱われているだなんて全く思えなくて。



普段は大人で意地悪で、余裕ばかり見せているような友季が、自分との行為でここまで切羽詰まった表情を見せていると思うと……



ドキドキしないわけがない。



「トモ、くん……」



友季の汗ばんだ頬に、繋いでいない方の手を伸ばしてそっと触れると、彼は更に苦しそうな顔をして舞を見つめ、



「舞……」



愛おしそうに舞の唇にキスを落とす。



「トモくん、大好き」



「舞っ……愛してる……!」



その言葉と共に、友季はついに舞の中で果ててしまった。

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