第31話

丁度その頃、姫花はというと――



先程の唯と同じように、自室のベッドに突っ伏してめそめそと泣いていた。



……唯に、キスをされてしまうのかと思った。



唯のことを拒む理由など勿論ないが、姫花は唯の好みのタイプではないはず。



好きでもない女に、そんなことを簡単にしてしまうのかと思うと、とてもショックだった。



だが――



まさか、おでこのニキビを指摘されてしまうとは……!!



前髪で一生懸命隠していたのに、よりにもよって好きな人に見られるなんて――



「恥ずかしすぎる……」



唯に怒りをぶつけてはきたが、あんなのただの八つ当たりだ。



「ますます対象外にされちゃうよぅ」



まためそめそと泣いていると、



「おーい、姫花ー?」



部屋の扉の外から、頼斗がノックをしてきた。



「唯が姫花に謝りたいってうちに来たぞー?」



「……いないって言って」



今は会いたくない。



「お前が置いてきた宿題一式届けに来てくれたみたいだぞ?」



「頼斗が受け取ってよ」



「宿題って全部終わってんの?」



「まだ、半分しか……」



そこまで答えて、ハッとした。



勉強が苦手な姫花には、自分で解ける自信がない。

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