第30話
頼斗と話してみて、やはりコイツの話は参考にならないと判断した。
「今からお前ん家行って、姫花にちゃんと謝るよ」
姫花の忘れ物も届けてやらないと困るだろうし。
『まぁ、それが一番得策かなぁ』
「……」
参考にならない話しかしなかったヤツに、上から目線で言われたくはないのだが。
『姫花は代わりに俺に出るようにって言うだろうけど、断っとくぞ〜』
「ん。頼む」
通話を切り、姫花の勉強道具の入ったトートバッグを持ち上げた。
もし、姫花が他の男と付き合うことになったとしたら――
その時の自分との関係がどうなってしまうのかと不安になる。
きっと、さっきみたいに自分と2人きりの部屋に勉強を教えてと入ってくることもなくなるのだろう。
それを考えると、今ある時間を純粋に楽しんだ方がいいのかもしれない。
それなら、やはり、姫花と仲直りがしたいと思う。
「……よし」
唯は気合いを入れ、姫花にしっかりと謝るため、自宅を後にした。
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