第27話

「それにしても……」



朝日は、ふと沙那の方を見る。



「純が惚れ込む女なんてどんなもんかと思ってたんやけど……えらい別嬪べっぴんさんやね」



「!」



朝日の言葉にすぐに反応したのは、純だった。



朝日から沙那を隠すように、2人の間に割り込む。



「君みたいな子も、俺のタイプやわぁ。俺の話も真面目に聞いてくれたし」



純が睨みを利かせていても、朝日は全く気にしない。



「君も大学生やんな? 何回生?」



「……2年生です」



学年の言い方が違うので、沙那は一瞬戸惑った。



聞き慣れない関西弁は、意味を理解するのに少し時間がかかる。



「ほな、今年で20歳になるんやんな? 今度、俺と2人で飲みに行こうや!」



「おい。勝手なことをかすな」



純が低く静かな声で、朝日を制した。



「純は誕生日がまだまだ先なんやから、俺と沙那ちゃんしか飲まれへんやん?」



朝日はヘラヘラと笑って言ったが、



「私も、誕生日はまだまだ先なので、瀬戸さんとはご一緒出来ません」



沙那は朝日に向かって深々と頭を下げた。



「沙那ちゃんの誕生日いつなん?」



「それは個人情報なので、秘密です」



真顔で答えた沙那に、



「俺、めっちゃ信用されてないやん!」



朝日は大ウケして笑い出した。

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