第21話

「秋っ!!!」


別の男の人の怒鳴り声がしたと思った瞬間、私が掴んでいた男の人の腕は簡単に私の手から離れてしまって。



ガシャン!



そばに置いてあったイスが倒れて、すごい音がしたとこまでは見えたけど、なんだか秋と呼ばれた人までも飛ばされた気がした。  



一瞬で起きた目の前の出来事に恐怖を感じた時だった。私に伸びてくる手に気づき、視線を上げると…



「か、みさ…ま」



あの、忘れることさえ出来ないきれいな神様だった。


ようやくしっかり見れたその瞳はきれいなアーモンド型、髪の毛はとても深い、綺麗と思ってしまうほどの黒。そして薄く綺麗な唇からは想像もつかない‥。



神様ってこんな乱暴なんだ…



私もろくな人生を送ってこなかった。

今から制裁されるんだ…。

そう思い体に小さな震えが走ったと同時に目をキュッと瞑ると



「颯っ!!

秋に当たってどうするんだよ!


って…あれ?

お姫様のお目覚めか」


少し息を乱して入ってきた新しい男の人。なんだか今日は綺麗な人ばかり見れる日だ。

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