第77話

フードの中から現れたのは半分が黒でもう半分が薄水色の髪の毛だった。



髪の毛の色の意味は召喚されてきてすぐに教えてもらったから知らない訳ではない。





黒髪は魔族、だと。




だが仮にオルラが魔族だとしても魔王だという証拠はない。



……ああでも、昨日のあのオーラは。





「信じてくれたかしら」




「……なら、なんで俺を」



「殺さなかったのか、って訊いたら怒るわよ」





オルラがすでに眉間にしわを寄せて俺を睨んできた。


もう怒ってるじゃねーかよ…。



でも、そうだったな。殺しじゃ何も解決しない。




たとえそうだとしても昨日から俺はほとんど丸腰だった訳で。



捕獲するなりなんなりできたはずだろ。



なんであんな訳わかんない言葉を残して街に送ったりしたんだよ。






「お前は俺をどうしたいんだよ…」



「どっ、どっどうって!?わ、私はべ、別にその…だからっ」




「ブフッ、なんでそこでそんなに焦るんだよ。お前って全然魔王っぽくねーよな」





どういう意味で捉えたのか分からんが慌てまくるオルラに思わず吹きだした。



オルラは俺の言葉に真っ赤な顔で睨んできたが、その顔で睨まれても全く怖くない。


むしろかわい……って、だから違うッ!



こいつはそうは見えないけど一応魔王なんだ。



俺とは、相容れないはずの存在。



いくら俺でも、境界線を越える勇気は、ない。






「そんなこと言ったら貴方だって全く勇者っぽくないんだからね!」


「はは、それはよく言われるわー。俺ってそんなに勇者っぽくいないかね」



「そりゃあもう、平民F!って感じの雰囲気よ。魔力量を除けば、だけど」






平民F、を強調して鼻息荒く言うもんだがら俺の笑いのツボを刺激しまくってしょうがねえ。


耐えきれなくなりでかい声で笑ってしまう。



ほんともう…昨日初めて会ったばっかだし、相手は魔王だって分かってんのに。








――俺、今すげー楽しい。



こいつとなら人と魔族の境界線なんて越えられてしまいそうで怖くなる。





それにしても、




「平民Fって何だよ!なんでAじゃねーんだよっぶはははっ!!!」







――

―――

はい、タイトルからもわかるようにこれは続きます。

が、更新は不定期です((テヘペロ←

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僕神sidestory集 遥哉 @furann10

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