僕神sidestory集

遥哉

ゆうしゃさまとまおうさまⅠ

第71話

「貴方は本当に不思議な人ね」





と、彼女はいつも俺に言う。そのあとは決まって可愛らしく笑う。


俺からしてみれば彼女のほうが不思議な人、だ。出会った時からずっと。



笑いながら彼女の髪をなでてやると、彼女は頬を膨らませてぺしっと俺の手を払った。






「そんなことされても嬉しくないんだからっ」



「…知ってる。でも俺が撫でたいの」





そう言ってもう一度撫で始めると、今度は大人しく頭をなでさせてくれる。


あー…くそ。いちいち可愛い。




彼女の行動の全てが愛おしくて。俺は彼女の髪に軽く口づけする。





俺が彼女と初めて出会ったのは、初めて魔王城にたどり着いた日の夜。



…まあ、衝撃的な出会いだったとは思うよ。



それなりに勇者やってた俺の心を粉々にするくらいには。





その日は快晴で、澄み渡った空に煌めく星が綺麗な夜だった。

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