第12話

私は今、グランドホテルの控え室にいる


顔合わせの日から半年後の今日はこれから披露宴が行われる


翔貴さんとは顔合わせの時と昨日の神前式でしか会っていない


2回しか会っていない人と結婚するなんて世間ではあり得ない


でもこの世界では珍しいことではない


私たちは政略結婚


互いの家のためだけの関係そこに愛なんていうものは存在しない


そんなことを考えながら披露宴の支度は進んでいく


(コンコン)


「はい」


「失礼いたします。私、若頭側近の齋藤 綾人と申します。以後お見知りおきを。もう間も無くお時間です。」


「わかりました。」


そう言うと齋藤さんは部屋から出ていく


私は深呼吸をして部屋を出た


披露宴の会場前の扉にはすでに翔貴さんが立っていた


「待たせてしまい申し訳ありません。」


そう謝ると返ってきたのは舌打ち


「若、奥様にそんな態度はいけませんよ。」


「いえ、私が悪いので気にしないでください。」


齋藤さんと話しているとスタッフの方からもうすぐ扉が開けられると声をかけられる


入場の合図で扉が開かれ会場に入った

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