第8話

魔法に魅せられ、使いすぎれば

魔法使いはおろか、ひとでさえいられなくなる。


僕を拾った大魔法使いのお爺さんが僕に言った。

だから決して魔法に溺れてはならない、と。




「私、クロウとなら何処までも歩くから…だから。」


レシェだって本当は分っているんだ。

魔法なら見付かる事もなく簡単にこの森を抜けられるって。


それでも魔法を使わないでほしいと言うのは

他ならぬ僕の為だった。



「分かった。魔法はなるべく使わない。」


僕はランタンを置いて背を向けしゃがんだ。



「確かもう少し先に小屋が有る。そこまでは僕に甘えて。」


その足はもう限界のはずだから。


暫く考えていたらしい。

だけどレシェは僕の背に覆い被さる。足に力を入れてゆっくりレシェを背負いながら立ち上がった。



「ありがとう、クロウ。」

「礼を言うのは僕の方だよ、レシェ。」

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黒衣の魔法使い バニラ味(サイト転載であたふたしてる) @vanilla_flavor

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