第31話

近くで見ると、筒地君は想像していたより背が高かった。



私ですら首を傾けないと顔が見れないし、お祖母ちゃんなんて背が小さいから、30センチくらい差がありそうだ。



好青年、高身長、天才職人のイケメン。



これでお祖母ちゃんたちの歳が40歳ほど若かったら、お祖父の強敵なライバルになっていたんだろうなぁ……、なんて呑気なことを考える。




「双葉ちゃんはね、私の若い頃にソックリなの〜」


「そうなんですか?じゃあ、双葉さんも女将さんみたいに美人になりますね」


「んまぁ」




ご機嫌なお祖母ちゃんに、優しく目を細める筒地君。



容姿を褒められたお祖母ちゃんは、照れて筒地君の背中をバシバシと叩いている。



もちろん、お世辞に決まっているんだろうけど、筒地君がこの店に来た理由が『お祖母ちゃんに惚れたから』と聞かされているだけに、ちょっと気になる……。



お母さんは“心意気の方に惚れた”って言っていたけど、本当にそうなんだろうか。



世の中、物好きもいるしなぁ……。



恋愛の趣味って人それぞれだから、正直なところわかんない。



少しだけ心配するような気持ちが芽生える。

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