第30話

次の日の朝。



「どうも。初めまして。筒地つつじです」




お店に出勤してきたら、噂の筒地君がお母さんに挨拶をしてた。



上がった口から真っ白な歯が覗き、頭の中で“キラーン”と甲高い効果音が鳴り響く。




おー、これが本物の筒地君か。


雑誌で見るよりも爽やかだ。


それに生身で見る方が顔立ちも整っている。




これで天才的な味覚と腕も持っているんだよね……。


そりゃ、アチラコチラから声も掛かるわけだ。




お祖母ちゃんってば、好きな芸能人にでも会ったかのようにデレデレしちゃって。



お祖父ちゃんが拗ね出さないか心配だ。




「あ、双葉ちゃん。この人が新しくうちにきた筒地君」


「うん。よろしくね」


「この子は私の孫で双葉ちゃん。仲良くしてやって」


「はい。よろしくです」




お祖母ちゃんに紹介されて挨拶を交わすと、筒地君は柔らかい笑みを浮かべながら、私の傍に寄ってきた。



ペコリと頭を下げられ、頭を下げ返す。

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