第28話

「それにしても、新しくうちに来る職人が凄いってので皐月くんも気合が入ってるわね」


「そんなに気合が入るほど凄い人なの?」


「そりゃもう、えも言われぬ天才よ。うちに来るのが不思議なくらい」




本当に凄いんだから〜!とお母さんが輝々とした表情で、カウンターの下から取り出した“和菓子特集”って雑誌を私に見せる。



開いた雑誌の中にはオシャレな和菓子と、髪も笑顔も物腰も全て柔らかそうな好青年が写っている。



名前は筒地つつじ君。


歳は私たちより少し上くらい。



この人が明日からうちに働きに来る、新しい職人さんらしい。



雑誌の記事の内容によると、有名な製菓学校を卒業後、厳しいと評判の店で修行を積んできたそうだ。



その修行と才能もあってか、作り出したオリジナル商品は売れに売れ、今やその才能の凄さから雜誌やテレビに引っ張りだこ。



あらゆるコンテストに出ては優勝しまくっている、和菓子界の有名人なのだとか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る