第27話

「まぁ、あたしからすりゃ、さっきのあんた達の方が自然だしね」


「え、そう?」


「そうよ。小さい頃は、いつもあんな感じだったでしょ」




懐かしむように目を細め、お母さんはレジに小銭を足しながら、しみじみと言った。



堪らず手を止めて首を傾げる。




そうだったかな……?


そこら辺、あまり覚えてないや。



確かにあの頃は穏やかな日々を過ごしていたし、それなりに仲良くやっていた思い出はあるけど。



何分、小さい頃のことだから細かい部分までは……。



私の記憶から出てくる皐月といえば、怒っているか、バカにしてくる姿ばかりだから。



さっきの穏やかな2人の方が自然と言われても、かなり違和感。

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