第33話

「そうかな?」


「そうだって」




頷くあたしの顔を聖也君のアーモンドアイが暴くようにじっと見てる。


半信半疑って感じ。



でもまぁ、きっと聖也君にはバレない。


1週間前のアレと言えば、拒否って拒否って拒否りまくった後にヤッた久々のアレだったし、演技しまくったおかげで聖也君は珍しく燃えてた。



割と付けたがる方だし、気付けば付いてたって流れは今まで何回かあった。


だから大丈夫なはず。って計算なんかして、あたしもなかなかの悪人だ。




「何?付けたか分からなくなるくらい夢中だった?」


「あー、確かにあの日はやばかった」


「そんなに?」


「うん」




聖也君はそれ以上疑うことなく、ちょっと照れたように笑ってあたしを抱き締めた。



大好きな大好きな腕の中…。


悲しくて辛い腕の中。



多分そんなに疑ってはなかったんだろう。


あたしが自分に惚れ込んでるって知っているから。


もしかしたら他の男と…、なんて思いもしないと思う。

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