第27話

『今どこ?』



出た瞬間、“もしもし”と言うよりも早く場所を聞いてくる貴ちゃん。



いつも通り。



耳を澄ませば、後ろでクスクス笑うギャルの声。



あ、やっぱね。


そちらも昨夜は随分とお楽しみだったようで。と呆れつつ、膝に乗ってきた猫の頭を撫でる。




浮気相手の前で堂々と掛けてくるなよ。



せめて帰ってからにしろ、と苛つく。



いや、でも、お互い様か。



私だってまだ浮気相手と一緒だ。



そう思ったら許せる私がいるんだから笑えない。




「友達の家~」


『誰?』


「小学校の同級生だよ?」


『ふーん』




明るく言った私に貴ちゃんは興味がなさそうな声を出した。


あっそ、って感じ。



いったい何の電話?と思うが、そこから黙ってしまった。



何も言って来ない。


用がないなら切っていい?と、愛しのダーリンに向かって薄情なことを言いたくなる。

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