第8話

それから1時間。



私達はひたすら麻雀を続けた。




国士無双。



一と九の数牌と字牌を各一種類ずつ13個揃えて、1種類の牌を2つ揃える役満貫のうちの1つ。




私はこの国士無双が大好きだったりする。




だから、今回もそれ狙いでやってたんだけど……。




「ロン」




さっきから、ずっとあっくんがあがってばかり。



圧勝中だ。



正直、




「あっくん。つまんな~い!」




つまんないよー。



あっくんばっかり勝って。




ほんと、無駄に麻雀と喧嘩だけは強いんだから。





「ハードボイルドだ」




拗ねた私をおちょくるように、あっくんはジュースを手に取り、ニヤリと笑った。



乱暴に私の頭を撫でて上機嫌。



何だか苛立つ。




そこで“ハードボイルド”とか、意味がわからないし。




「もういい。疲れた。寝るー」




ブツブツと不貞腐れながら、あっくんのベッドに寝転がる。




ふかふかのベッドが心地いい。



私の家は布団だから。




「は?お前が居ねーと出来なくなるだろ」



「まぁまぁ、いいじゃん。3人麻雀で」




ぶつくさとキレるあっくんを畑中君が宥めてくれる。




「畑中君って、あっくんと違って優しいね」




そう言ったら、畑中君はあっくんをチラッと見て、複雑そうに苦笑いを浮かべた。

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