第31話
「楽しそうだねぇ」
「だろん」
「いつの間にそんな仲良くなったの?」
机に置いた腕の下には慶彦が作成した今月の生徒会新聞。
内容はごく普通の物で部活についての紹介が書かれてある。
「勘違いすんな。仲良くはない」
「えぇっ?自分達マブダチじゃないんスか?」
「いったいドコをどう見たらそうなるんだ?」
「だってほら、息がピッタリじゃないッスか」
「そう思ってるのはお前だけだ」
友情ごっこをする私を鼻で笑い、澤田君は照れくさそうに頬杖をついてそっぽを向く。
ははーん。さてはツンデレか。
可愛いやつめ。
「仲が上手くいってて何よりだよ」
「だね。ちゃんと勉強も教えてくれているみたいだし」
「これで菜々さんが留年をする心配も無くなりますね」
あ、そっか。と思い出して視線を下に向ければ、机に置かれたノートが寂しげにこちらを見ていた。
早く続きを書いてよ、と言っているみたいに。
そうだった。
今は澤田君に理科の勉強を教えて貰っている最中だった。
すっかり忘れてた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます