第28話
「ちゃんと授業に出たんですか?」
「まぁな」
「1時間目から6時間目まで?」
「出たよ。ホームルームはサボったけど」
「あぁ、それで早かったんですね」
生徒会室に向かって足を運びながら廊下で澤田君と話す。
なるほど。だから待ち時間が長く感じたのか。納得。
それにしてもこのヤンキー、頼みどおり授業にはちゃんと出てくれたらしい。
つい数日前まで皆勤賞を取る勢いでサボっていたのに律儀な。
見た目とは違って意外と真面目なのかな?
なんてったって全教科95点以上を取るような頭脳を持っているほどだし。
「お前はちゃんと真面目に授業を受けたんだろうな?」
「勿論!当たり前じゃないですか」
「本当か?授業で使ったノートを出してみろ」
疑うように言われて内心ドキリ。
躊躇しながらもおずおずと鞄からノートを取り出す
開いたノートにはびっしりと書かれた丁寧な文字……ではなく、ピーコの愛らしいイラストが描かれている。
ウインクピーコ、飛びピーコ、お昼寝ピーコ、我ながらいい出来だ。
模写とまではいかないが、上手く特徴を捉えて描かれている。
「どうです?うまいでしょう?」
「アホか!」
得意げに微笑んだ私に澤田君は勢い良くビシッとツッコミを入れてきた。
廊下の壁にノートを叩きつけて心の底から呆れたような表情だ。
疲れた。とでも言いたげに溜め息まで吐かれて思わず苦笑い。
うん。私が悪いのはわかってるよ。
でも、勉強は嫌いなんだもん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます