第32話

「後にしねぇ?」


「……何でですか」


「いや、機嫌の良いうちにキスくらいしときてぇなって」




余程、言いにくい話なのか先輩は私のうなじを撫でながら躊躇ためらうような複雑な表情を見せる。



そこまで言うのを躊躇ちゅうちょする話?


私の機嫌が悪くなるような。


悪い話なの?


と、疑問でいっぱいになる中。


いいともダメだとも答える前に後頭部に指を這わされ、キスされた。



軽く触れ、離れた後にもう一度名残惜しそうに触れる唇。


そしてまた離れ、再び唇が重なり…。




「いや、早く言って下さいよ」



深く舌を差し込まれて背中がゾクっとしたところで先輩の肩を押し返した。



話を逸らそうとしてる。



しかも今絶対どさくさに紛れてディープなキスをしまくろうとしてた。



何なの?もう。

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