第31話

「ねぇ、先輩」


「ん?」


「話って何ですか?」




機嫌が良さそうに頭を撫でる先輩の顔を見上げ、疑問に思っていた事を尋ねる。


すると、先輩は撫でていた手をピタッと静止させ、一瞬表情を固めた。


そこから更に気まずそうに口を結ぶ。



……いや、どう見たって不自然だ。



どうしちゃったの?と思い首を傾げると、先輩は首の裏を手で擦りながら「はぁー」と溜め息を吐き、私の前にしゃがみ込んだ。




「言いたくねぇな」


「どうしてですか。言う為に呼んだんでしょう?」


「んー、まぁ、そうだけどよ」



なんて項垂れるように肩に顔を埋められ、頭の中が“?”でいっぱいになる。



凄く言い辛そう。


話をする為に呼んだのに?



どうして?

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