第29話
「想像したらめちゃくちゃ嫌でした」
「するな」
「先輩が私と居るとお兄ちゃんと居るみたいって言うからじゃないですか」
「実際お前ら似てんじゃねーか。そうやって沈んでたかと思ったらふざけ出すとことか」
「そこはまぁ、お兄ちゃんもそうでしたけど…」
「でも確か、あいつ、お前と喧嘩した日は1日中沈みっぱなしだったな。無駄に暴れて怪我しまくってさ」
玄関で靴を揃える私の背後で先輩がポツリと呟く。
そう言えば、そうだった。
お兄ちゃんは私が怒ったり拗ねたりすると、いつも傷だらけで帰ってきた。
それで『傷が痛いから手当てして欲しい』とか『頭を洗って欲しい』とか色々甘えてきて、最終的に私が『好きだよ』って甘えに行くまで落ち込んだままだった。
“怒ってないよ”じゃなく“好きだよ”って言うまで。
許されるよりも自分の事が好きかどうかがお兄ちゃんに取っては重要だったらしい。
言わないと元気がなくなって逆に心配になるほどだった。
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