第27話

だけど違う。


本当の私は汚い。


先輩はきっと何も知らないだけ。




「そんな事ないです…。真っ黒ですよ、私。狡いし、汚いし、屑だし、下衆いし、自分勝手だし」


「いや、言い過ぎだろ」


「言い過ぎじゃないです。本当に先輩が思ってるような女じゃないんです。卑怯で薄汚れてて最低で……」




自分でも何を言ってるんだろうと思うくらい、ネガティブな発言が止まらない。



だって言っておかなきゃ怖い。


知られて嫌われたら怖い。 


バレて去っていかれたら怖い。 


だったら先に知ってて欲しい。


依存しきってしまう前に知ってて欲しい。


戻れるうちに知ってて欲しい。




「さっきから何だ?遠回しに嫌って言ってんのか?」


「そうじゃないです」


「だったらもう、あれこれ考えるな。俺はお前が欲しいつってんだから」


「…欲しい?」


「そうだ。“くれ”って言ってんだ。寄越せよ」


「………」


「本気で騙しに来いって言っただろ。腹黒だつーなら、しれっとした顔で愛されとけ」

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