第25話

「本当にいいんですか。私で…」



グルグル頭の中で考えて止まらず、思わず先輩に聞いてしまった。



そんなの好き嫌いがハッキリしてる先輩のことだ。


ダメなら最初から彼女になんてしてない。


それでも迷う心を脱ぎ払いたくて判断を委ねてしまった。


肯定して欲しかったのかも知れない。




「お前がいい」


「私の何処がいいんです?」


「心開いたヤツにしか尻尾振らねぇところ」


「それは、まぁ…」


「あと、お前と居ると肩の力が抜けるってのもある」


「アホだなぁって?」


「そうじゃねぇ。空気感つーか、傍に居ると安心する。裏がねぇから。お前」




エレベーターのドアが開く。

 

数歩歩ければキラキラと輝く夜の世界。



繋いだ手を更にぎゅっと握り締め、先輩が私を連れて歩いて行く。

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