第25話

なんだ…。


やっぱり考えすぎだったのかも知れない。



マキちゃんの話は単にデマか何かだろう。



それか誰かが積極的に嘘を吹き込んでるとか。





「それでさ…っ、」



続けて何かを話し始めようとした時、いきなりクゲ君が咳き込んだ。



どうやら食べてたクッキーを喉に詰まらせたらしい。




慌てて水を飲もうとするが、ペットボトルの中身は空。


思わず近くにあった自販機でお茶を買って渡す。




「大丈夫?」


「ごめん。平気。ありがとう」




申し訳なさそうに謝るクゲ君。



普通に戻った表情に安心し、チラリと時計を見れば、またもや時間がギリギリ。



次は厳しい先生の授業だし。


少しでも時間に遅れたら欠席扱いにされる。



急がなきゃ。





「ごめん。もう行かなきゃ」


「あ、ちょっと、待って。お茶代」




焦って走り出そうとする私をクゲ君が呼び止める。


しかし、向こうも焦ってるのかワタワタしてて財布を落っことす。



だから、今度でいいと言って走り出した。



そのまま次の授業が行なわれる棟に近づき、窓を見上げる。



すると、立ち去るマキちゃんの背中が見えた。

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