第30話

「急にどうして?」




「さっき裕也君に言われたの。『ここに居たいって言ってるなら居させてあげるべきだ!!俺に任せろ!!』ですって。ふふ」




母さんに真実を告げられて、心底驚いた。




「裕也君が……?」




さっき会った時は、そんなこと一言も言ってなかったのに。




裕也君、優しいなぁ……。




本当の兄さんみたいだ。




「いい友達持ったな」




微笑む母さんの隣で、父さんもニッコリ微笑む。




「まぁ、“可愛い子には旅をさせよ”って言うものね」




母さんにそう言われてホッと息をつく。




これで、離れなくて済むんだ。




そう思ったら涙が零れた──。

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