第5話

ただの人形と一緒だ。



何も言わずに何も反応を示さないなんて。




本当は甘く漏れる声も唇をギュッと噛み締めて我慢しているのに。



シーツじゃなくて雅史の背中に爪をたてたいのに。




欠片のように残った理性がそれを邪魔する。



精一杯バレないように気をつける。



雅史の温もりを失いたくない一心で。




ねぇ、雅史。



起きてる時も求めてよ。



そしたら心おきなく乱れることが出来るのに。



偽りでもいいから好きと言って。



ううん。やっぱり愛して。



雅史の愛が欲しい。



興味を持って。



私の体だけじゃなくて心にも。



ねぇ、雅史。



好きだよ。



だから気づいて。



振り向いてよ。




私を愛して。

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